肋骨骨折

「咳やくしゃみをした瞬間に、胸や脇腹・背中にズキッと激痛が走る」
「寝返りを打つときや、深呼吸・大笑いをしたときに胸が響いて痛む」
「転倒して胸を打ってから、痛む場所を押すと飛び上がるほど痛い」
このような症状でお困りではありませんか?
肋骨骨折は、日常生活やスポーツで胸や背中に外力が加わった際、あるいは強い咳が続いた際に頻繁に発生する外傷です。
転倒や衝突などの明らかな怪我だけでなく、ご高齢の方や骨粗鬆症のある方では
「布団を持ち上げた」
「しつこい咳が続いた」
といった日常の些細な動作でも容易にヒビ(不全骨折)が入ることがあります。
単なる打撲だろうと自己判断して痛みを放置していると、痛みのために呼吸が浅くなり、無気肺や肺炎などの二次的なトラブルを引き起こす恐れがあります。
疾患について
人間の胸郭は、左右12対(計24本)の肋骨(ろっこつ)がカゴのように内臓(心肺)を取り囲んで保護しています。
肋骨は非常に薄く弓なりにしなる構造をしているため、外部からの直接的な衝撃(直達外力)に対して折れやすい部位です。
また、ゴルフのスイングや長引く激しい咳などで筋肉が強く収縮し、骨がねじられる力(介達外力)によって折れることも珍しくありません。
骨が完全に折れる完全骨折だけでなく、骨の表面にヒビが入る状態(不全骨折)や、肋骨の先端にある軟骨部分の損傷(肋軟骨損傷)も広い意味での肋骨骨折に含まれます。
症状の特徴と経過
呼吸や上半身を動かす日常動作に連動して強い痛みが現れます。
▪️ 呼吸・咳・くしゃみでの増悪
息を深く吸い込む(深呼吸)、咳やくしゃみをする、笑うなど、胸郭が大きく膨らむ動作で患部に鋭い激痛が走ります。
▪️ 体動時(起き上がり・寝返り)の激痛
ベッドから起き上がる、寝返りを打つ、上半身をひねる動作で胸郭が圧迫・牽引され、強い痛みを伴います。
▪️ 局所の強い圧痛と胸郭把握痛
骨折部位を指でピンポイントに押すと激しい痛み(限局性圧痛)があります。
また胸を前後や左右から両手で挟むように軽く圧迫した際、離れた骨折部位に痛みが響くのが特徴です。
▪️ 皮下出血・腫れ
受傷後数日から数週間かけて、胸や脇腹、背中の皮膚に青あざ(皮下出血斑)が広がることがあります。
なりやすい方の特徴
骨の強度や、胸郭へ過度な負担がかかる状況が発症に関与します。
🔴 骨粗鬆症のあるご高齢の方
骨がもろくなっているため、家具の角に軽くぶつけた、重い荷物を持ち上げた、咳き込んだといった軽微な外力でも折れやすくなります。
🔴 風邪や喘息で激しい咳が続いている方
咳を繰り返すことで肋間筋が激しく収縮し、疲労骨折のように肋骨にヒビが入ります。
🔴 ゴルフや野球などの回旋スポーツをされる方
反復する体幹の回旋ストレスにより、肋骨の疲労骨折を生じることがあります。
🔴 転倒や衝突などの外傷を負った方
階段を踏み外した、自転車で転んだ、コンタクトスポーツで激突したなどの外傷。
診断のポイント
肋骨のヒビや軟骨部の骨折は、通常のレントゲン写真だけでは判別が難しいケースがあるため、複合的な診断アプローチが不可欠です。
主な診断アプローチ
⭐︎ 触診と圧迫テスト
痛む部位を指で慎重に触診し、圧痛の限局点や変形、胸郭把握痛の有無を確認します。
⭐︎ レントゲン検査
胸郭全体と患部を斜めなど複数の角度から撮影し、骨折線の有無、骨のずれ(転位)、気胸(肺が破れてしぼんでいないか)や血胸(胸に血がたまっていないか)などの危険な合併症がないかを確認します。
⭐︎ 超音波(エコー)検査
レントゲンでは写りにくい微細なヒビ(不全骨折)、ずれのない骨折線、骨の表面の血腫、およびレントゲンに写らない肋軟骨損傷をその場で鮮明に描出します。
⭐︎ 呼吸状態・酸素飽和度の確認
必要に応じてパルスオキシメーターを用いて血中酸素濃度を測定し、肺の合併損傷がないかをチェックします。
治療法
内臓損傷や著しい骨のズレがない限り、胸郭の動きを制限して痛みをコントロールする「保存的治療」が基本となります。
✅ 胸部固定帯(バストバンド)の装着
胸郭を適度な圧力で固定する専用のバンド(バストバンド)を装着します。
深呼吸や咳をしたときの肋骨の広がりを抑えることで、痛みを大幅に軽減し、骨の癒合を促します。
✅ 薬物療法
消炎鎮痛薬(内服薬や湿布)を適切に処方します。
痛みを我慢して呼吸が浅くなると肺の合併症(無気肺・肺炎)を引き起こす恐れがあるため、痛みをしっかり抑えて普通の呼吸ができる状態を保つことが大切です。
✅ 咳止め・去痰薬の併用
咳が原因で骨折した場合や咳が続いている場合は、骨折部の安静を保つために鎮咳薬を併用します。
✅ 重篤な合併症の病院連携
骨折片が肺を傷つけて「気胸」や「血胸」を起こしている場合、あるいは多発骨折により胸郭が不安定になっている場合は、緊急の処置や入院加療が必要となります。当院で診察の上、疑われる場合は速やかに提携総合病院へ救急搬送・ご紹介いたします。
日常生活の注意点
骨がしっかり癒合するまでの約3〜4週間は、胸郭を圧迫しない過ごし方を心がけます。
・バストバンドは正しく着用する
痛みが強い初期は、寝返り時の激痛を防ぐため就寝中もバンドを着用します(締め付けすぎて呼吸が苦しくならない程度に調整します)。
・痛む側を上にして寝る工夫をする
痛む側の胸を下にして横向きに寝ると、体重で骨折部が圧迫されて悪化するため、仰向けか、痛みのない側を下にして寝るようにします。
・重いものを持つ・上半身をひねる動作は避ける
荷物の持ち運びや、掃除機をかける、体を大きくひねるような運動は、骨折部がズレる原因となるため治癒するまで控えてください。
肋骨骨折は適切な固定と痛みの管理を行うことで、通常3〜4週間程度で痛みが和らぎ、後遺症なくきれいに癒合していきます。
「胸を打ってから咳や深呼吸が響いてつらい」「寝返りが打てない」といった症状がある場合は、我慢せず名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。









