手根管症候群

「親指から中指にかけてジンジンとしびれる」
「夜中や明け方に手のしびれや痛みで目が覚めてしまう」
「ボタンをかける、小銭をつまむといった細かい動作がしにくい」
このような症状でお困りではありませんか?
手根管症候群は、手首のひら側にあるトンネル(手根管)の中で、指先の感覚や運動を司る神経(正中神経)が圧迫されることで生じる疾患です。
手のしびれを伴う病気の中で最も頻度が高く、特に更年期以降の女性や、妊娠・出産期の女性に多く見られます。
また、仕事や家事で手をよく使う方にも発症しやすい特徴があります。
ただの疲れと放置していると、しびれが強くなるだけでなく、親指の付け根の筋肉が痩せ細り、物をつまむ力が回復しなくなる恐れがあります。

疾患について
手首の手のひら側には、骨と強靭な靭帯(横手根靭帯)で囲まれた手根管という狭いトンネルがあります。
このトンネルの中を、9本の指を曲げるための腱と、1本の正中神経が通っています。
正中神経は、親指から薬指の半分(親指側)までの感覚と、親指を動かす筋肉の働きを支配しています。
手を使いすぎたり、女性ホルモンの変化が起きたりすると、手根管の中を通る腱を包む膜(滑膜)が腫れ上がります。
すると狭いトンネルの中で一番柔らかい正中神経が圧迫され、しびれや痛み、運動障害が引き起こされます。これが手根管症候群の病態です。
症状の特徴と経過
手根管症候群は、特徴的なしびれの範囲と時間帯があります。
▪️ 特定の指のしびれと痛み
親指、人差し指、中指、薬指の親指側にしびれや痛みが生じます。小指にはしびれが出ないのが大きな特徴です。
▪️ 夜間痛や明け方の症状悪化
夜間や明け方にしびれや痛みが強くなり、目を覚ましてしまうことがよくあります。手を振ったり、指の曲げ伸ばしをしたりすると一時的に楽になります。
▪️ 細かい指先の動作が困難になる(巧緻機能障害)
進行すると、服のボタンをかける、お札や小銭をつまむ、ペットボトルのフタを開けるといった動作がしにくくなります。
▪️ 親指の付け根の筋肉(母指球筋)の萎縮
重症化すると、親指の付け根のふくらみ(母指球)が痩せてペタンコになり、親指と人差し指でOKサインを作ることができなくなります。
なりやすい方の特徴
手根管内の圧力を高める様々な要因が発症に関与します。
🔴 更年期や周産期(妊娠・授乳期)の女性
女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変化によって、腱鞘や滑膜がむくみやすくなります。患者様の多くをこの層が占めます。
🔴 手を日常的によく使う
パソコンのタイピングや家事、調理、楽器演奏など、手首を頻繁に曲げ伸ばしする方。
🔴 手首の骨折(橈骨遠位端骨折など)後
骨折後の変形や腫れによって手根管が狭くなることで発症することがあります。
🔴 透析治療中や糖尿病に罹患
アミロイドという物質の沈着や、神経自体の障害によって発症リスクが高まります。
診断のポイント
手のしびれは、首の神経の圧迫(頚椎症性神経根症)や糖尿病性神経障害などとの鑑別が極めて重要です。
主な診断アプローチ
⭐︎ ティネル様サイン(打叩テスト)
手首の手のひら側(手根管の真上)を指や打診器で軽く叩くと、指先に向かってビリビリと痛みが走るかを確認します。
⭐︎ ファレンテスト(手首屈曲テスト)
両手の甲を胸の前でピッタリ合わせ、手首を直角に曲げた状態を1分間キープします。しびれが強くなる場合は陽性と判断します。
⭐︎ 超音波(エコー)検査
手根管内の正中神経が腫れて太くなっていないか(神経の扁平化や腫大)、周囲の腱に炎症がないかをリアルタイムに確認します。
⭐︎ レントゲン検査
手首の骨の変形や異常がないかを確認し、他の骨関節疾患を除外します。
治療法
症状の進行度合い(しびれの強さや筋肉の萎縮の有無)に合わせて治療を選択します。
✅ 局所安静と装具療法(スプリント固定)
手首を曲げた姿勢が手根管の内圧を最も高めるため、就寝中などに手首をまっすぐに保つ専用のサポーターやシーネ(副木)を装着し、神経を休ませます。
✅ 薬物療法
ビタミンB12製剤(神経の修復を助ける薬)や消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛薬を内服します。
✅ 手根管内注射療法
しびれや痛みが強い場合、手根管内に直接局所注射(ステロイド等)を行い、腱鞘の腫れを抑えて神経の圧迫を速やかに軽減させます。
✅ 手術療法の判断
保存的治療で改善しない場合や、すでに親指の付け根の筋肉(母指球)が痩せてしまっている重症例では、横手根靭帯を切離して神経の圧迫を解除する手術が必要となります。
当院では必要に応じて提携総合病院等の専門医へスムーズにご紹介いたします。
日常生活の注意点
手首への負担を減らすことが、しびれの悪化を防ぐポイントです。
■手首を極端に曲げた姿勢を避ける
睡眠中に無意識に手首を強く曲げて寝てしまうことが夜間のしびれの原因となります。サポーターの活用が有効です。
■長時間の連続作業を控える
パソコンや手作業を行う際は、こまめに手を休める時間を取ります。
■筋肉が痩せてきたら早めに受診する
親指の付け根の筋肉(母指球)が痩せてしまうと、手術をしても握力やつまむ力が完全には戻らないことがあります。しびれが強い場合は放置せず早めの受診が重要です。
手根管症候群は、初期の段階で適切な診断を受け、神経の圧迫を取り除く治療を行うことで、しびれや痛みを大きく改善させることができます。
「親指や中指がしびれて目が覚める」
「細かい作業ができなくて困っている」
といった症状がある場合は、我慢せず名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
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