橈骨近位部骨折
橈骨近位部骨折は、肘関節における橈骨の骨折で、小児に多い橈骨頚部骨折と成人に多い橈骨頭骨折に分けられます。橈骨は肘の曲げ伸ばしや回旋運動(回内・回外)において重要な役割を果たすため、適切な治療を受けないと肘の機能障害が生じるリスクが高くなります。主な受傷原因は、転倒・転落時に手をついたり、肘を直接地面に打ちつけることです。骨折と同時に肘の靭帯損傷を合併することもあります。さらに肘関節の脱臼を伴う場合は治療がさらに難しくなることがあります。
どのような人に多いか
橈骨頚部骨折は小児に多く、走行中の転倒や遊具からの転落などが原因で発生します。一方橈骨頭骨折は成人に多く見られ、スポーツ活動が活発な方や、転倒するリスクが高い骨粗鬆症のあるご高齢の方に発生しやすくなります。
主な症状
肘関節を中心に強い痛みや腫れが生じ、肘の可動域が制限されます。特に肘の伸展や回旋動作(回内・回外)が著しく制限され、靭帯損傷を伴う場合は肘の不安定感が生じることがあります。
診断
まず受傷時の状況や症状を確認した上で、レントゲン画像検査を行い、骨折の重症度を評価します。さらに骨折の形態や靭帯損傷の有無を詳細に確認するために、CTやMRI画像検査を行うことがあります。特に靭帯損傷の評価にはMRI検査が有用です。
治療
骨折の転位(ずれ)が小さい場合は、ギプスシーネやギプスで固定する保存療法が行われます。通常3〜4週間の固定期間を設け、その後はリハビリテーションとして可動域訓練を開始します。一方、転位が大きい場合や靭帯損傷を伴う場合は、手術が必要となります。手術では金属のスクリューやプレートを用いた骨接合術や、重症度の高い場合には人工骨頭置換術が選択されることがあります。
予防のために
転倒のリスクを減らすことが予防の鍵とな理、特にご高齢の方は筋力やバランス能力を維持するために可能な範囲での運動習慣を取り入れることが重要です。また骨粗鬆症の予防のために適切な運動やカルシウム、ビタミン、ミネラルを豊富に含む食事を心がけることも大切です。
当院のご紹介
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