上腕骨外側上顆炎 (テニス肘)

「フライパンや鍋を持ち上げると肘の外側がズキッと痛む」
「ドアノブを回す、タオルを絞る動作で肘に痛みが走る」
「パソコンのマウス操作やキーボード入力で肘から腕がだるい」
このような症状でお困りではありませんか?
上腕骨外側上顆炎は、一般に「テニス肘」とも呼ばれ、手首や指を伸ばす筋肉の腱が肘の外側の骨に付着する部分に微小断裂や炎症が生じる疾患です。
テニスなどのラケットスポーツ愛好家に限らず、料理や掃除などの家事を日常的にこなす方、手作業や重い荷物を扱うお仕事の方、長時間のデスクワークをされる方など、日常生活の中で非常に多く発症します。
肘の軟骨がすり減る疾患ではなく手首を動かす筋肉の付け根のトラブルであるため、初期の違和感を放置して手首を使い続けていると、ペットボトルのフタを開けることすら困難になるほど痛みが強くなることがあります。

疾患について
手首を反らしたり、指を伸ばしたりする働きを持つ筋肉(前腕伸筋群)は、肘の外側にある骨の出っ張り(上腕骨外側上顆)に束ねられて付着しています。
手首や指を繰り返し使ったり、加齢に伴って筋肉や腱の柔軟性が低下したりすると、この腱の付着部に引っ張られるストレス(牽引ストレス)が集中します。
その結果、腱の付着部に微細なキズ(微小断裂)や炎症が生じ、痛みが発生します。これが上腕骨外側上顆炎の病態です。
症状の特徴と経過
安静にじっとしているときにはほとんど痛まない反面、特定の動作で肘の外側に鋭い痛みが走るのが特徴です。
▪️ 物をつかんで持ち上げる動作
買い物袋を持つ、やかんや水筒を持ち上げる、フライパンを振るなどの動作で痛みます。
▪️ 手首をひねる・絞る動作
ドアノブを回す、固いビンのフタを開ける、雑巾やタオルを絞る動作で強い痛みが現れます。
▪️ 指先や手首を反らせる動作
パソコンのマウスをクリックする、キーボードを強く叩くなどの長時間のデスクワークで肘の外側が重だるく痛みます。
▪️ 肘の外側の局所的な圧痛
肘の外側にある骨の出っ張りを指で押すと、コリコリとした腱の付着部に強い痛みがあります。
なりやすい方の特徴
手首の使いすぎに加え、加齢に伴う腱の変性が背景にあります。
🔴 40代〜50代の中高年
加齢により腱の弾力性が失われ始め、微小断裂が起こりやすくなります。
🔴 日常的に家事や料理をこなす方
包丁を使う、フライパンを持つ、拭き掃除をする動作の繰り返し。
🔴 重い荷物の運搬や手作業のお仕事
運送業、建築関係、調理師など。
🔴 長時間のパソコン作業
マウスやキーボードを操作する際、手首を常に持ち上げた姿勢を保つため筋肉が緊張します。
🔴 ラケット競技
テニスやバドミントンなどのバックハンドストロークの衝撃が肘に伝わります。
診断のポイント
肘の痛みは、変形性肘関節症や頚椎由来の神経障害などとの鑑別が重要です。
主な診断アプローチ
⭐︎ 徒手誘発テスト
手首や中指を反らしてもらい、医師がそれに抵抗をかけたときに肘外側に痛みが出るかを確認します(Thomsenテストなど)。
⭐︎ レントゲン検査
骨の変形や異常がないか、腱付着部に石灰沈着や骨棘ができていないかを確認します。
⭐︎ 超音波(エコー)検査
腱の付着部が腫れていないか(肥厚)、微小断裂の有無、慢性的な炎症に伴う異常な血流(新生血管)の出現をその場でリアルタイムに確認します。
治療
テニス肘の治療は、手首の筋肉の負担を減らす「保存的治療」が基本となります。
✅ 局所の安静と動作の是正
痛みの出る動作を極力控え、手首に過度な負担をかけない工夫を行います。
✅ 装具(エルボーバンド)の装着
肘関節の少し手前をベルトで圧迫することで、手首を動かした際の引っ張りストレスが肘の骨付着部に直接伝わるのを防ぎます。
✅ 薬物療法
消炎鎮痛薬(内服薬や外用薬・湿布)を用いて、局所の炎症と痛みを和らげます。
✅ 局所注射療法
痛みが強く日常生活に支障をきたしている場合、症状に応じて腱付着部の周囲に局所注射(ステロイド等)を行います。頻回の注射は腱を脆弱化させるリスクがあるため、エコーで状態を確認しながら慎重に適応を判断します。
ストレッチ例
保存的治療で改善が見られない場合、手術を検討することもあります。
腱の切除・滑膜切除・骨表面の処置などを行い、負担の原因を取り除きます。多くは関節鏡視下で行う低侵襲手術で、術後の回復も比較的スムーズです。
ただし、手術適応となるのは全体の5〜10%程度で、多くの方は保存療法で改善が期待できます。
日常生活の注意点
肘への負担を減らす日常の小さな工夫が、改善を早める重要な要素です。
▪️物の持ち方を見直す
重いものを持つときは、「手の甲を上」に向けて持つと肘に強い負荷がかかります。
「手のひらを上(逆手)」にして脇を締め、前腕全体や二の腕の筋肉を使って抱え込むように持ちます。
▪️ストレッチを習慣化する
肘を伸ばした状態で、もう片方の手で手首を手のひら側(下方向)へゆっくり曲げ、前腕の外側の筋肉を伸ばすストレッチを行います。
▪️パソコン環境を調整する
リストレスト(手首のクッション)を使用し、手首を過度に反らせたまま操作しない環境を整えます。
テニス肘は手を使う以上治りにくい疾患とされますが、早い段階で正しい診断を受け、バンドの活用や日常動作の工夫を行うことで十分に改善が期待できます。
「物を持つと肘に激痛が走る」「家事やお仕事で肘が痛くて困っている」といった症状がある場合は、我慢せず名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
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