SLAP(上方関節唇)損傷
SLAP損傷(上方関節唇損傷:Superior Labrum from Anterior to Posterior)は、肩関節の安定性を担う組織である関節唇が損傷される疾患です。投球動作などで上腕二頭筋長頭腱に反復的な負荷がかかることで関節唇が骨から剥離して発生します。治療は主に運動療法が中心で、肩関節機能のみならず体幹機能の向上と共に、過度な負荷を減らすため投球動作のフォームを見直す必要もあります。手術が必要なケースはおおよそ6%程度とされています。
どのような人に多いか
SLAP損傷は1985年に初めて投球障害肩として報告されましたが、野球だけでなく、テニスやバレーボールなどのオーバーヘッドスポーツを行うアスリートによく見られます。
主な症状
肩や肘を動かした際に肩の前方や深い部分に痛みや引っかかり感を認めます。特にオーバーヘッド動作時に痛みが強く現れます。
診断
痛みの発生タイミングやスポーツ歴を聴取し、痛みや引っかかり感を誘発する徒手検査を行います。画像検査は主にMRI画像を撮影して関節唇損傷の程度を確認して治療方針を定めます。レントゲン写真は補助的に撮影されますが関節唇はうつりません。
治療
急性期は炎症に伴う強い痛みに対して肩の安静が必要です。消炎鎮痛薬の使用やヒアルロン酸・ステロイド注射も行われます。理学療法により関節の可動域訓練や体幹・下肢の筋力強化も実施されます。正しい投球フォームの獲得も重要です。保存的治療が効果的でない場合は手術が検討されます。手術は関節鏡を使用して関節唇の修復が行われます。手術後は競技復帰に向けてリハビリが行われます。
予防のために
スポーツ時のフォームや動作に注意し、特にオーバーヘッドスポーツは正しい動作で行い過度な負荷をかけないようにしましょう。症状が治まった後も適切なトレーニングと身体バランスの維持が再発予防につながります。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。