頚椎後縦靭帯骨化症
頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)は、頚髄という首の神経の通り道である脊柱管の後方に位置する後縦靱帯が骨化することにより、頚髄が圧迫されて様々な神経症状が引き起こされる疾患です。この病態には糖代謝異常、遺伝的要因、力学的負荷などが関与していると考えられていますが、現在のところ詳細な原因は解明されていません。特に東アジアの住民では欧米と比較して発症率が高い傾向が見られます。
どのような人に多いか
中年以降に多く発症し、特に50歳前後の年齢層でよく見られます。男性に発症が多く、糖尿病や肥満が存在すると発症頻度が高まると考えられています。
主な症状
初期症状としては、四肢の痺れ、巧緻機能障害(手指の使いにくさ)、歩行障害が挙げられます。病態は緩慢な進行を示しますが、次第に書字やボタンかけ、階段昇降などが難しくなり、日常生活動作に支障をきたすことがあります。また膀胱直腸障害(排尿・排便障害)も認められることがあります。
診断
症状の経過や身体検査の確認に加え、画像検査が行われます。レントゲン写真では靭帯の骨化の有無や範囲が評価され、さらに詳細な情報を得るためにはCT画像検査が行われます。また、頚髄の圧迫の程度を評価するためにはMRIが有用です。
治療
保存的治療として、頚椎装具の着用により首の過度な動きを制限します。症状に応じて消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの内服薬物療法も行われます。神経症状が強く、日常生活に支障がある場合は手術が必要となります。手術方法は骨化の程度や部位に応じて前方法と後方法に分かれます。
予防のために
頚椎後縦靱帯骨化症は多くの要因が関与しているため予防は難しいですが、糖尿病や肥満を避けるようにし、適切な生活習慣の維持や体重管理が重要です。再発を防ぐためには軽微な外傷にも気を付ける必要があり、特に転倒には十分な注意が必要です。
当院のご紹介
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