疲労骨折

疲労骨折とは、繰り返しの負荷や過度な運動によって生じる骨折を指します。通常の骨折とは異なり、一度の強い外力ではなく、長期間にわたる小さな負担の蓄積によって発生します。特に運動習慣のある人や活動量の多い方に起こることが多く、放置すると骨折が進行し、完全な骨折に至ることもあります。疲労骨折が起こりやすい部位は、脛骨(すねの骨)、中足骨(足の骨)、大腿骨 、骨盤(恥骨、坐骨) 、肋骨、上腕骨(投球動作の多いスポーツで発生)、肘頭(肘の後方)などです。
原因としては、繰り返しの外力によるオーバーユース、筋力・柔軟性の不足や関節の可動域制限、女性の場合は月経異常による骨の脆弱性(骨が弱くなっている状態)などが挙げられます。
どのような人に多いか
同じ動作を繰り返すスポーツ従事者(特に陸上競技、バスケットボール、サッカー、野球、体操、ダンス、バレエなど)や、長時間の歩行やランニングをする方(マラソン選手、登山家、軍人など)、骨密度が低い方(閉経後の女性、栄養不足の方、骨粗鬆症患者)、急に運動を始めたり運動量を増やした方に多く発症します。また、不適切な靴(クッション性の不足した靴、サイズの合わない靴など)の使用も原因となることがあります。
主な症状
運動時や体重をかけた際に痛みや腫れが認められます。初期は軽度であっても、進行すると安静時にも痛みを感じることがあります。また、痛みによって運動のパフォーマンスが低下します。
診断
問診では痛みのある部位や従事しているスポーツ・職業について確認します。画像検査としては、まずレントゲン検査を実施します。初期には骨の変化が見られないこともあるため、疲労骨折が疑われる場合はMRI検査を行うことがあります。MRIは早期発見が可能で、骨の内部の異常を捉えやすい検査です。その他、骨シンチグラフィーやCT検査が実施されることもあります。
治療
基本的に骨折の治療と同様、安静とギプスやギプスシーネによる外固定を行います。スポーツ活動は制限する必要があります。痛みのコントロールには消炎鎮痛薬を使用します。スポーツ活動への早期復帰のために、理学療法士によるリハビリテーションも重要です。カルシウムやビタミンDの摂取を意識することも、疲労骨折の予防対策となります。重症例や骨癒合が得られない場合には、手術が必要となることもあります。
予防のために
適切なウォームアップとクールダウンを行い、筋肉や骨への負担を軽減することが大切です。運動時には急激な負荷を避け、徐々に強度を上げるようにしてください。また、正しいフォームの習得も重要です。靴は、クッション性があり、サイズの合った適切なものを選択してください。栄養管理(カルシウム、ビタミンD、タンパク質の十分な摂取)と適切な休息・睡眠も予防対策となります。閉経後の女性は、特に定期的な骨粗鬆症検査を受けることが推奨されます。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。
