膝前十字靭帯損傷
前十字靭帯(ACL)は、膝関節において前方への安定性を担う重要な靭帯です。急な方向転換やストップ動作を伴うスポーツ中に、膝に回旋力がかかり、ACLが過度に伸ばされて断裂に至ります。特にスキー、サッカー、バスケットボールなどのスポーツで多く発生し、放置すると膝の不安定性が残り変形性膝関節症になるリスクが高まります。
前十字靭帯断裂損傷の解剖図
どのような人に多いか
中高生の部活動、特にスキー、サッカー、バレーボールなどのプレーヤーに多く見られ、女性に発症が多い傾向があります。関節の弛緩性や遺伝もリスク要因となります。
主な症状
損傷に伴う膝の強い痛み、腫脹、不安定性が主な症状です。症状が軽い場合でも、放置してしまうと将来的には痛みや不安定性が再発してしまう可能性が高いです。
診断
Lachmanテストやピボットシフトテスト、KT-2000デバイスによる膝関節の不安定性(前方動揺性)の評価が行われます。関節液の性状を調べるために関節穿刺を行うこともあります。靭帯損傷があると血液が混じっていたり、骨折を伴っていると脂肪滴という成分が見られます。画像検査では、レントゲン写真で前十字靭帯損傷に伴う特徴的なSegond骨折(脛骨プラトー外側剥離骨折)の有無を確認し、MRIで前十字靭帯損傷の有無や半月板、その他膝の靭帯の状態を評価します。
治療
前十字靭帯は損傷すると自然治癒が期待できないため、手術が一般的な選択肢です。スポーツ競技への復帰を望む場合は手術が必要で、保存治療では将来的な半月板損傷や変形性膝関節症のリスクが高まります。手術は関節鏡を用いて自家腱を移植する靭帯再建術が主流です。
予防のために
スポーツ競技プレー中の受傷では予防は難しく、受傷した後の治療をいかに適切に行うかがスポーツ復帰の鍵となります。前十字靭帯損傷は基本的に手術の適応になることを理解し、手術後もリハビリテーションを慎重に行いながら靭帯の強度を高めていくことが再発予防に不可欠です。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。