上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋長頭腱炎は上腕前面の「力こぶ」を形成する筋肉の腱である上腕二頭筋長頭腱が、上腕骨の結節間溝と呼ばれる溝の中やその周囲で炎症が生じて肩の前面に痛みを認める疾患です。腕を挙げる動作やスポーツ、筋肉トレーニングなどによる慢性的な刺激が原因となります。
上腕二頭筋長頭腱(Long head of biceps tendon)の解剖図
どのような人に多いか
力仕事やオーバーヘッドスポーツ(野球、バレー、テニスなど)をする方、また肩の使い過ぎや筋力トレーニングなど過度な負荷がかかる方にも多く発症します。腱板断裂を起こしている方に合併している場合もあります。加齢とともに変性が進み、腱が断裂することもあります。
主な症状
肩の前側から二の腕にかけての痛みを認め、特に肘を伸ばした状態で物を持ち上げたり、後ろに手を回すと痛みが強くなります。
診断
痛みを誘発する臨床テスト(SpeedテストやYergasonテスト)やレントゲン写真では通常異常所見は見られません。超音波やMRI画像検査が上腕二頭筋腱の状態を評価するのに役立ちます。
治療
初期の治療では、炎症を抑えるために肩を安静に保ち、痛みの誘発される動作は控えます。消炎鎮痛薬の内服・外用や物理療法(低周波治療や温熱療法など)も選択されます。ステロイド剤の注射も比較的有効です。腱板断裂が合併している場合には関節内のヒアルロン酸注射や肩関節の運動療法も併用されます。
予防のために
過度な力仕事や筋力トレーニングは避け、適切な休息を取るようにしましょう。オーバーヘッドスポーツも注意が必要です。運動前後にはウォーミングアップとクールダウンをしっかり行い、予防に努めましょう。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
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