O脚の原因と対策

O脚(内反膝)は、膝が外側へ湾曲し、両膝の間に隙間が生じる状態を指します(画像参照)。正面から見ると両膝がOの字になっているこの状態は見た目の問題のみならず、変形性膝関節症と関連が深いため、早期の対策が大切です。
小児のO脚
幼少期のO脚は多くの場合正常な成長過程の一環として見られます。生まれてから1~2歳頃まではこの状態が継続することが一般的で、成長とともにX脚を経て、成人期の正常なアライメントへと移行します。3歳を過ぎてもO脚の改善が見られない場合や、左右の脚でO脚の程度に差を認める、歩行時に異常があるといった場合には整形外科を受診する必要があります。
O脚の原因
O脚の原因は、遺伝的要因、先天的な骨格の違い、あるいは特定の疾患が関与することがあります。
①遺伝的・先天的要因
一部の方は、遺伝的に膝のアライメントがO脚になりやすい傾向を持っています。家族内にO脚の方が多い場合は、その可能性を考慮する必要があります。
②骨軟骨異形成症
骨軟骨異形成症は、骨や軟骨の発達に異常をきたし、O脚を引き起こす疾患群の総称です。この疾患を有する方は、身長が低く、骨格に特異的な変化がみられることが特徴です。
③栄養障害(くる病)
ビタミンDの不足により発症する「くる病」は、骨が十分に硬化せず、荷重によってO脚が進行する原因となります。現在では栄養状態の向上により発症率は減少していますが、偏食や日光不足が影響を与えることがあります。
④ブラント病(Blount病)
ブラント病は、脛骨(すねの骨)の成長板に異常を生じることで発症する疾患で、原因としては遺伝的素因、早期歩行(早期に歩き始める)、体重過多などが挙げられます。早期発見と治療が重要であり、適切な診断が求められます。
大人のO脚
「子どもの頃はまっすぐだったのに、大人になってO脚が目立つようになった」と感じる方も多いと思います。大人のO脚は、主に加齢や生活習慣の影響による変化と関連しています。
O脚と膝の疾患で関係が深いものは、変形性膝関節症です。この疾患は膝関節の軟骨が摩耗し、膝の内側に負担が繰り返しかかることで進行します。O脚が進行することで膝関節の変形が進み、痛みや可動域の制限が生じることがあります。
O脚のリスク因子
加齢:加齢に伴い、軟骨の弾力性が低下し、関節の変形が進行しやすくなります。
肥満:体重増加は膝への負担を増大させ、O脚の悪化を招く要因となります。
生活習慣:長時間の立ち仕事や膝に負担をかける動作が多い職業の方は、O脚のリスクが高まります。
O脚の対策
①体重管理
適正体重を維持することで膝への負担を軽減する。
②運動療法
内転筋(太ももの内側の筋肉)を鍛えるエクササイズや、正しい歩行姿勢を意識することで、膝のアライメント(形)を保持する。
③装具療法
膝の内側にかかる負荷を軽減する装具(インソールや膝装具)を使用する。
④手術
O脚に伴い膝の変形が進行した場合には、手術(骨切り術や人工膝関節置換術)も治療選択肢となります。
まとめ
O脚は、成長過程における自然な変化である場合もありますが、年齢や生活習慣によって進行し膝の健康に影響を与えることがあります。特に大人のO脚は、変形性膝関節症と関係が深く早期からの対策が重要です。
O脚が気になる方は、まず整形外科専門医に相談し、ご自身の膝の状態を正確に把握することが大切です。適切な治療や予防策を講じることで、健康な膝を長く維持することが可能となるでしょう。
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