頚椎症性脊髄症
頚椎症性脊髄症は、主に加齢性の変化に伴い頚髄(頚椎の後方を走行する神経)の通り道である脊柱管において、靭帯や骨、椎間板などが肥厚・増殖することで頚髄が圧迫されて生じる疾患です。上肢の痛みやしびれ、動かしにくさ、四肢の筋力低下など多彩な症状が現れますが、自然治癒は基本的に見込めません。症状が進行すると手の使用の制約や歩行障害など日常生活に著しい支障をきたすため、早期の専門医による治療介入が重要となります。
どのような人に多いか
主に加齢に伴う変化ですが、日本人は脊柱管が狭い傾向があり発症が比較的多いとされています。
主な症状
初発症状は手指の痺れや歩行障害が多く、進行すると巧緻機能障害(手の使用が不自由になり箸の使用やボタンのはめ外しが難しくなる状態)や握力低下、下肢筋力低下、排尿障害などが現れます。特に手指の動きに関する指標であるfinger escape signが脊髄症の症状として重要です。
診断
臨床症状とともにレントゲンやMRIによる画像検査が行われます。これにより頚椎の骨の変化や脊柱管の狭さ、圧迫を受けている頚髄の状態が詳細に観察されます。
治療
保存療法としては頚椎カラーによる装具療法や、脊柱管が狭窄する後屈姿勢を避け、転倒予防に杖を使用するなど日常生活動作に注意します。薬物療法として鎮痛薬やビタミンB12、筋弛緩薬、プロスタグランジン製剤、ステロイドなどを使用することもありますがその効果は限定的と考えられています。保存療法の効果が乏しい場合や下肢麻痺・排尿障害といった神経学的症状が出現した場合は手術が必要となり、脊柱管拡大術や除圧固定術などが行われます。
予防のために
年齢的な変化のため確立された予防法はありませんが、本疾患になると軽微な外傷でも四肢麻痺になる可能性があるため、転倒には十分な注意が必要です。症状を認めた場合は放置せず早急に医療機関を受診してください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。