ドケルバン病
ドケルバン病は、主に親指を動かした際に親指の付け根から手首が痛む腱鞘炎です。主に親指を酷使することが原因で起こります。具体的には、親指を伸ばす腱と広げる腱※が、手首の腱鞘（伸筋支帯）というトンネルの構造の中において摩擦が生じ、それが炎症を引き起こし痛みや腫れが生じます。
（※短母指伸筋腱と長母指外転筋腱）
どのような人に多いか
ドケルバン病は、手首や手をよく使う職業（例：パソコン・スマホ作業が多い職、調理師、美容師、演奏家など）に従事する方や、妊娠中や授乳期の女性、透析中の方、糖尿病の方に多く見られます。
また中高年の女性に多く発症しますが、これは更年期に伴うホルモンの変化や男女間の腱の走行の違いが関係していると考えられています。
主な症状
ドケルバン病の主な症状は、親指の付け根から手首（親指側）にかけての痛みです。特に物を握ったりタオルを絞ったりすると痛みが強くなります。
痛みによって握力が低下することもあり、重度の場合は手首や親指の腫れ、発赤、熱感が現れることもあります。これらは日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。
診断
身体検査として親指を中に入れてグーを作り、小指側に倒す動作で痛みを評価します（Eichhoff（アイヒホッフ）テスト）。
画像検査は超音波検査が簡便ですが、必要に応じてレントゲン画像検査やMRI画像検査も行われます。
治療
腱への負担を減らすために、母指や手首を休めることが大切です。必要に応じて装具を使用することもあります。薬物療法としては、炎症を鎮める内服薬や外用薬が使われます。ステロイド注射も効果がありますが、ステロイドの副作用（腱組織が傷む・感染・皮膚の色調変化等）を考慮して医師の判断で行われます。一定期間保存療法を行っても効果的でない場合、手術が検討されることがあります。手術は通常は局所麻酔で行われ、腱の狭窄部位で腱鞘を切開します。
予防のために
親指の酷使が主な原因ですが日々の生活の中で気づかない間に疲労が蓄積していることもよくあります。長時間のデスクワークやスマホの使い過ぎは避けるようにして下さい。ペットボトルや瓶の蓋を開ける際には痛みのない方の手で蓋を回して下さい。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。
