橈骨遠位端骨折

「つまずいて転んだ際に、とっさに手をついてから手首が激しく痛む」
「手首がパンパンに腫れ上がり、フォークのような形に変形している」
「痛くて手首を動かせず、指先もしびれるような気がする」
このような急な怪我でお困りではありませんか?
橈骨遠位端骨折は、前腕(肘から手首)にある2本の骨のうち、親指側にある太い骨(橈骨)の手首に近い部分が折れてしまう日常で非常に頻度の高い骨折です。
特に骨粗鬆症が進行している中高年以降の女性に多く見られ、立った高さからの軽い転倒でも容易に発生します。
また若年層でもスポーツや交通事故など強い衝撃で生じることがあります。
橈骨遠位端骨折のレントゲン画像例
疾患について
人間の前腕(肘から手首までの部分)には、親指側にある太い橈骨と、小指側にある細い尺骨という2本の骨が並んでいます。
転倒して手のひらを地面に強くついた際、体重の衝撃が手首の関節を介して橈骨に集中し、手首の関節面から数センチ手前の部分で折れてしまうのが橈骨遠位端骨折です。
折れた骨のずれ方によっていくつかの種類がありますが、最も代表的で頻度が高いのが、折れた先の骨片が手の甲側(背側)にずれてしまうコレス骨折(Colles骨折)です。
症状の特徴と危険な兆候
受傷直後から、骨折特有の非常に強い症状が現れます。
▪️ 手首の激痛と完全な可動域制限
手首を動かすことができなくなり、反対側の手で支えていないと腕を下ろしていられないほどの激痛が走ることもあります。
▪️ 腫れと皮下出血
骨折部からの出血により、受傷直後から手首全体が腫れ、時間の経過とともに手のひらや腕にかけて青黒い皮下出血(青あざ)が広がることもあります。
▪️ 特徴的な手首の変形(フォーク状変形)
骨が手の甲側に大きくずれている場合、手首を横から見ると食器のフォークを伏せて置いたような不自然な形に変形します。
▪️ 指先のしびれ(正中神経麻痺の合併)
骨折のずれが強いと、手首を通る神経(正中神経)が圧迫・牽引され、親指から中指にかけてしびれが生じることがあります。
なりやすい方の特徴
骨の強度(骨密度)が発症リスクに直結します。
🔴 骨粗鬆症を有する閉経後の女性
女性ホルモンの低下によって骨がもろくなっているため、ちょっとつまずいて手をついた、自転車で転んだといった日常の軽微な外傷で簡単に折れてしまいます。
太ももの付け根、背骨の骨折と並んで、骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折の代表例です。
🔴 若年層・スポーツ愛好家
スノーボードでの転倒、スケートボード、バイクや自転車での転倒など、高いエネルギーの衝撃が加わった際に生じます。
この場合、関節の中まで複雑に割れる関節内骨折になりやすい傾向があります。
診断のポイント
骨折の有無だけでなく、骨折線が関節面に及んでいるか(関節内骨折)、神経や血管の損傷を合併していないかを見極めることが重要です。
主な診断アプローチ
⭐︎ 触診と神経・血流の確認
指が動くか、指先の感覚(しびれ)に異常がないか、手首の脈拍に異常がないかなど、合併症の有無を迅速にチェックします。
⭐︎ レントゲン検査
手首を正面と横の2方向から撮影し、骨折の有無、骨のずれる方向や角度、短縮の程度(骨が潰れて短くなっていないか)を評価します。
⭐︎ 超音波(エコー)検査
骨折部の周囲の血腫の状態や、正中神経への圧迫具合、靭帯損傷の合併をリアルタイムに確認します。
⭐︎ CT画像検査(連携機関での精査)
関節面に複雑な骨折線が入っている場合、骨片の立体的な位置関係を正確に把握して手術方針を決定するため、提携機関(メディカルスキャニング)にてCT検査を行うこともあります。
治療法
骨のズレ(転位)の程度や、患者様の年齢、活動性に応じて「保存的治療」か「手術治療」かを判断します。
✅ 保存的治療
ずれが軽度な場合や、ご高齢で活動性が低い場合は、手術を行わずに治癒を目指します。
・徒手整復
局所麻酔などを用いて痛みを和らげた上で、医師が手で骨を引っ張り、ずれた骨片を正しい位置に押し戻します。
・初期固定(ギプス・シーネ固定)
整復した骨が再びずれないよう、ギプスや強固なシーネ(副木)で約4〜6週間、手首を固定します。
・定期的なレントゲン確認
固定中も骨が再転位(再びずれること)していないかを定期的にレントゲンで確認します。
✅ 手術の判断
ずれが大きく徒手整復では元に戻らない場合、骨が細かく砕けている(粉砕骨折)場合、関節面が段差になっている場合、若年者で早期の社会復帰・スポーツ復帰が望まれる場合は手術が標準的です。
手の甲側や手のひら側から金属のプレートとスクリューを用いて骨を強固に固定する手術(掌側ロッキングプレート固定術など)が行われます。
当院で初期診断・応急固定を行った上で、手術適応と判断された場合は、提携医療機関へ速やかにご紹介いたします。
日常生活の注意点
後遺症(指の拘縮など)を防ぐために、受傷直後からの管理が極めて重要です。
・手首は固定しても、指・肩・肘は積極的に動かす
ギプスで固定中、痛いからと指先まで全く動かさずにいると、指の関節が固まってしまい(拘縮)、骨が治った後に機能障害が残る場合があります。
固定されていない指先は、受傷翌日からグーパー運動を意識して繰り返し行い、肩や肘も動かして固まらないようにすることがリハビリの第一歩です。
・腕を心臓より高く上げる
腫れを防ぐため、三角巾で腕を吊ったり、寝る際はお腹の上にクッションを置いてその上に手を乗せるなど、患部を心臓より高い位置に保つ工夫をしてください。
橈骨遠位端骨折は、正確な整復と固定、そして適切な時期からの指の運動を行うことで、後遺症なく手の機能を取り戻すことができます。
また、この骨折を機に骨粗鬆症の検査・治療を開始することが、将来の寝たきりを防ぐために非常に重要です。
「転んで手をついてから手首が腫れて痛い」といった怪我の際は、時間が経つほど整復が難しくなるため、我慢せず早急に名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。










