首下がり症候群
首下がり症候群は、頚部の姿勢を保つことができなくなり、首が垂れて前を向けない状態を指します。この症候群の原因は様々ですが、加齢による変化が多く、70〜80歳代に多く発症します。デスクワーク、縫い物、家族の介護、引っ越し準備など、長時間下を向いている姿勢が続くことは発症リスクと考えられています。また、パーキンソン病や重症筋無力症といった神経内科領域の疾患が原因となることもあります。初期の症状は軽度で、肩こりと判断され診断が遅れることもあります。治療はリハビリテーションと装具療法が基本であり、病態に応じた対応が大切です。
どのような人に多いか
フレイルやサルコペニアによる筋力低下状態にあるご高齢の方、長時間のデスクワークや縫い物を趣味とする方、神経筋疾患(パーキンソン病、重症筋無力症、筋委縮性側索硬化症など)や甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患を有する方、頚椎の手術を受けた方に発症リスクが高まります。
主な症状
前を向くことが困難になり、頭部の重量感や頚部の痛みを感じることが多いです。重症の場合は四肢のしびれや麻痺が出現し、歩行障害が生じることもあります。
診断
上や後ろを向けないことや頚部の痛み、神経症状の有無などを確認した上で、レントゲン写真やCT、MRI画像検査を行います。神経疾患が疑われる場合は、採血や筋電図検査も行われます。
治療
頚部後方伸筋群の筋力を改善するためのリハビリテーションや、頚部痛の緩和や体幹バランスを安定化させるために装具を使用します。パーキンソン病や甲状腺機能低下症がある場合は、その治療も重要です。これらの保存療法が効果を示さない場合や、生活が困難となる重症例においては、手術(頚椎固定術)を行うこともあります。
予防のために
デスクワークやスマートフォンの使用時には姿勢に注意し、頚部後方伸筋群の筋力を低下させないよう、正しい姿勢を維持することが必要です。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
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