デュピュイトラン拘縮
デュプイトラン拘縮は、手のひらの皮膚の下に存在する手掌腱膜が肥厚したり、線維化という状態に陥って手のひらにしこりができる疾患です。この肥厚・繊維化が進行すると徐々に手指が曲がった状態で固まってしまう屈曲拘縮が生じることもあります。50代以降の男性に多く見られ、特に環指や小指に発症しやすい傾向があります。原因は未だ不明ですが、遺伝的要因の他に糖尿病、アルコール多飲、喫煙などが発症のリスクを高めると考えられています。
どのような人に多いか
50代以降の男性に多く見られます。遺伝的要因の他に、糖尿病、アルコール多飲、喫煙などが発症のリスクを高める要因とされています。また日本人は北欧系の白人と比較して、罹患数は低くないものの重症化してしまう方は少ないとされています。
手掌腱膜解剖図
主な症状
手のひらから指にかけて結節(こぶのようなもの)や索状物(硬いすじのようなもの)の形成が見られ、皮膚がひきつれて指を伸ばしにくくなります。特に薬指や小指に多く見られますが、他の指や足の裏にも発生することがあります。痛みは通常伴いません。
診断
手掌の硬結や拘縮などを確認することでおおよそ診断がつきます。他の疾患(関節症や腫瘍性病変)との鑑別のためには、レントゲン写真やMRI画像検査が行われることもあります。
治療
手術が主な治療法となります(2015年からコラゲナーゼ注射療法も導入されましたが、現在薬剤の供給が停止しています)。手指の屈曲拘縮により日常生活に支障をきたす場合に手術が選択されます。手掌が机にぴったりつけられるかどうかを試すことが一つの手術適応基準とされます。手術は固くなった部分を切除する方法が行われ、手術後にはリハビリや夜間の装具療法などの後療法が重要です。
予防のために
予防には特定の方法が存在しませんが、リスク因子となる糖尿病やアルコール多飲、喫煙には注意が必要です。手術後は指の動きを保つためにリハビリを継続することが再発予防となります。症状が進行してからは手術も難しくなるため、早期に医療機関を受診してください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。