特発性大腿骨頭壊死症
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の一部が十分な血液供給を受けられずに壊死する疾患であり、男性は40代、女性は60代に多く発症します。日本では毎年約2000〜3000人が新たに発症しています。壊死が生じただけでは痛みはなく、骨頭に圧潰という変形が生じると痛みを認識します。早期の治療介入が予後に影響を与えるため、症状の認識と早期医療機関の受診が重要です。本疾患は指定難病となっており医療費の助成を受けることが可能です(当院にて診断がついた場合は難病指定医療機関へご紹介しております)。
どのような人に多いか
原因は明らかになっていませんが、ステロイド使用歴やアルコール多飲歴、喫煙などが発症のリスクとされています。遺伝との関連については分かっていません。股関節の脱臼や骨折を受傷した後に一定期間を経てから壊死が生じることもあり、これは「外傷性大腿骨頭壊死症」とばれ特発性の壊死とは区別されています。
主な症状
初期段階では痛みがなく、骨壊死部が圧潰してから急激に痛みが生じます。この痛みは歩行にも影響を及ぼし、股関節痛ではなく臀部痛や膝痛が主な症状となる場合もあるため注意が必要です。
診断
発症初期ではレントゲン写真では異常が見られないため、症状や身体初見から本疾患を疑った場合はMRIの撮影が必要です。MRIでは「帯状低信号域」と呼ばれる壊死所見が確認されます。その他、骨シンチグラフィーと呼ばれる放射線同位元素を使用した全身の骨壊死評価検査も行われることがあります。
治療
症状がないか、痛みがあっても壊死範囲が僅かな場合は保存療法が選択されます。鎮痛薬や杖の使用が症状の程度によって検討されます。壊死範囲や痛みの程度に応じて手術が選択され、大腿骨骨切り術、血管付き骨移植術、または人工関節全置換術が行われることがあります。
予防のために
飲酒や喫煙を可能な限り避けましょう。症状が認識された段階ですでに骨頭の圧壊が進んでいるため予防は困難ですが、早急な医療機関の受診と診断が予後のために大切です。必要に応じて圧壊予防のために手術を行うケースもあります。治療後も継続的な生活習慣の見直しを行なって下さい。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。