扁平足

扁平足は、足のアーチ構造に異常が生じて土踏まずがなくなった状態をいいます。足のアーチは足裏を着地した際の衝撃吸収や力の伝達に重要な役割を果たしており、後脛骨筋腱がアーチ形成に重要な役割を果たしています。成人の扁平足の原因は主に後脛骨筋腱の機能不全です。小児の扁平足は成長とともに改善されることが一般的ですが、成人は様々な症状を引き起こし、手術が必要になる場合もあります。
扁平足とは
健康な足には、足裏に「土踏まず」と呼ばれるアーチ構造が存在します。このアーチは、体重を支え、歩行時の衝撃を吸収する重要なクッションの役割を果たしています。
扁平足とは、この土踏まずの高さが低下する、あるいは消失する状態を指します。アーチが失われることで、足や下肢に負担がかかりやすくなり、痛みや疲労感を引き起こすことがあります。
原因
扁平足は、大きく「先天性」と「後天性」に分類されます。
先天性扁平足(生まれつきの扁平足)
生まれつき足の骨格構造や靭帯の緩さに問題があり、幼少期から扁平足の傾向がみられます。遺伝的要因も関与しており、ご家族に扁平足の方がいる場合、類似の足型を受け継ぐことがあります。
後天性扁平足(成長や加齢に伴って生じる扁平足)
以下のような要因によって発症することがあります。
✅ 加齢や筋力低下
土踏まずを支えている筋肉や腱の機能が低下する。
✅ 肥満
足部への荷重が増し、足底アーチ構造が崩れやすくなる。
✅ 長時間の立ち仕事や歩行
繰り返しの負荷が足に蓄積される。
✅ 不適切な靴の着用
足に合わない靴がアーチの崩れを助長する。
✅ 妊娠・出産
体重増加やホルモンの影響で靭帯が緩くなりやすい。
✅ 運動不足
足底筋群の萎縮により、足底アーチを保てなくなる。
症状
扁平足の症状は個人差が大きく、まったく症状が出ない方もいれば、日常生活に支障を来すほどの痛みや疲れを感じる方もいます。
代表的な症状は以下の通りです。
✅ 足の疲れやすさ
特に長時間の立位・歩行後に強く感じやすくなります。
✅ 足裏の痛み
特に朝の一歩目や長時間の座位後に顕著です。
✅ 足首・ふくらはぎの痛み
足の骨配列の変化により負担が増します。
✅ 膝や腰の不調
足部のアライメント異常が全身のバランスに影響します。
✅ 歩行の変化
足の外側に重心が偏る、ぺたぺた歩きになる等変化が見られます。
✅ 靴の片減り
左右で靴底の減り方が不均等になります。
✅ 子どもの運動嫌いや疲労感
成長期の運動機能発達に影響することがあります。
✅ 進行した場合の足の変形
既製靴が合わず、特注靴が必要になるケースもあります。
治療
治療は、症状の程度や原因に応じて段階的に行います。大半の症例では、保存的治療(非手術療法)が中心となります。
1. インソール(足底挿板)
足裏のアーチをサポートするインソールの装着は、最も一般的かつ効果的な治療法です。既製品で効果が不十分な場合は、整形外科でのオーダーメイド作製をおすすめします。
2. 運動療法
・タオルギャザー運動
床に置いたタオルを足の指でたぐり寄せる運動。足底筋群の強化に有効。
・ふくらはぎのストレッチ
アキレス腱の柔軟性を高め、負担を軽減。
・足指運動
グー・パー・チョキを足の指で再現することで指の可動域を保ちます。
3. 体重管理
過体重は足への負荷を増大させ、アーチの低下を加速させます。バランスの良い食事と定期的な運動を心がけ、適正体重の維持を目指しましょう。
4. 靴の選び方
足をしっかり固定でき、アーチをサポートする構造の靴を選ぶことが重要です。ヒールの高い靴や、サイズの合わない靴は避けましょう。
5. 物理療法
温熱療法やマッサージにより、筋肉の緊張緩和や血行改善を図ります。痛みの軽減に効果的です。
6. 手術治療(重症例)
保存的治療で改善が見込めない場合には、骨切り術や靭帯再建術などの外科的処置を検討します。詳しくは専門医による診察が必要です。
予防のために
扁平足は予防可能な側面も多くあります。
✅ 子どもには裸足で遊ぶ機会を
足底の感覚刺激と筋力強化に効果的です。
✅ 日常的な運動習慣を身につける
ウォーキングや水中歩行など、足にやさしい有酸素運動がおすすめです。
✅ 定期的な足のセルフチェック
土踏まずの高さや歩き方を意識しましょう。
まとめ
扁平足は誰にでも起こり得る身近な足の問題です。適切な知識とケアにより、症状の進行を防ぎ、快適な日常生活を取り戻すことができます。
「足の疲れや痛みが気になる」「靴が合わない」「子どもの歩き方が気になる」といったお悩みがある方は、ぜひ一度整形外科での診察をご検討ください。
当院のご紹介
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