腰部脊柱管狭窄症

「少し歩くと足がしびれて痛くなり、歩けなくなる」
「前かがみになって少し休んだり、ベンチに座ったりすると、また歩けるようになる」
「自転車に乗ったり、手押し車(シルバーカー)を押して歩くときは痛くない」
このような症状でお困りではありませんか?
腰部脊柱管狭窄症は、背骨の後方にある神経の通り道(脊柱管)が加齢によって狭くなり、神経が圧迫・血流不足に陥ることで、歩行時に下半身の痛みやしびれが生じる疾患です。
特に60代以降のご高齢の方に非常に多く見られ、足の血流障害(閉塞性動脈硬化症)などと症状が似ているため正確な鑑別診断が必要です。
「歩くと足が痛むから」と外出を控えてしまうと、筋力が一気に低下し、寝たきりや要介護のリスクが高まってしまいます。
疾患について
背骨の真ん中には、脳から続く神経の束が通るトンネルの脊柱管があります。
年齢を重ねるとともに、背骨の骨が変形してトゲ(骨棘)ができたり、クッションである椎間板が潰れてはみ出したり、背骨を支える靭帯(黄色靭帯)が分厚くなったりします。これらの変化が重なることでトンネルの内側が狭くなり、中を通る馬尾神経や神経根が締め付けられてしまいます。
神経が圧迫されると、神経自体の血流が悪くなり、腰から足にかけての痛みやしびれ、足の脱力感などの症状が引き起こされます。
症状の特徴と経過
脊柱管狭窄症には、他の腰痛にはない極めて特徴的な症状が現れます。
▪️ 間欠跛行(かんけつはこう)
歩き始めは平気でも、しばらく歩くと足腰にしびれや痛み、張りが強くなり、立ち止まってしまいます。
しかししゃがんだり前かがみになって休むと症状がスッと消え、また歩けるようになるのが最大の特徴です。
間欠性跛行のイメージ図
▪️ 「後屈」で悪化、「前屈」で改善
背筋を伸ばして立ったり、腰を後ろに反らしたりするとトンネル(脊柱管)がさらに狭くなるため、症状が悪化します。逆に、前かがみ(前屈)になるとトンネルが広がるため、症状が和らぎます。
▪️ 自転車や手押し車なら平気
歩くのが辛い方でも、前傾姿勢になる自転車の運転や、ショッピングカートを押して歩くときは、トンネルが広がるため長時間動くことができます。
▪️ 排尿・排便の異常(重症例)
神経の中心(馬尾)が強く圧迫されると、足の裏の感覚の異常(砂利の上を歩いているような感覚)や、おしっこの出が悪くなる・漏れてしまうといった排泄障害が現れることがあります
なりやすい方の特徴
加齢による背骨の変形が最大の要因となります。
🔴 60代以降のご高齢の方
加齢に伴う骨や靭帯の退行変性が進むため、患者様の多くをシニア層が占めます。
🔴 若い頃に重労働や激しいスポーツをしていた方
長年の腰への負担が蓄積し、背骨の変形(変形性腰椎症)が進んでいる方。
🔴 腰椎すべり症と言われたことがある方
背骨の骨が前後にズレてしまう腰椎すべり症を伴っていると、トンネルの狭窄がより強く起こります。
診断のポイント
間欠跛行(歩くと足が痛くなり休むと治る症状)は、足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症(ASO)」でも起こるため、この見極めが極めて重要です。
主な診断アプローチ
⭐︎ 問診と神経学的・血管の診察
「どのような姿勢で楽になるか」を詳しく伺います。また、足の甲や足首の脈(足背動脈など)に触れ、血流の低下による間欠跛行でないかを鑑別します。
⭐︎ レントゲン検査
背骨の並びやずれ(腰椎前方すべり症)、骨の変形状態を確認します。
⭐︎ MRI画像検査
神経の通り道(脊柱管)が実際にどの程度狭くなっているかを正確に評価するためにはMRI検査が必須です。当院での初期診断後、必要に応じて提携の画像診断センター等へ速やかに手配いたします。
治療法
症状の程度に応じて、血流を改善するお薬を中心とした保存的治療から開始します。
✅ 薬物療法
脊柱管狭窄症の治療で中心となるのがプロスタグランジンE1製剤というお薬です。圧迫されて血流が悪くなった神経の血行を改善し、間欠跛行の距離を延ばす効果があります。あわせて、神経の痛みを和らげる薬やビタミンB12などを併用します。
✅ 装具療法(コルセット)
腰を過度に後ろに反らす動作を防ぐため、コルセットを装着して姿勢を安定させます。
✅ ブロック注射療法
足の強い痛みやしびれが飲み薬でコントロールできない場合、神経の周囲に局所麻酔薬と抗炎症薬を注射して症状を緩和させます(必要に応じて適切な専門医療機関をご紹介します)。
✅ 手術療法の判断
保存的治療を続けても歩行距離が伸びず日常生活に著しい支障がある場合や、足の力が入らない(麻痺)、排尿・排便障害がある場合は、トンネルを広げて圧迫を取り除く手術が必要となります。その際は、手術実績が豊富な提携総合病院を責任を持ってご紹介いたします。
日常生活の注意点
生活の工夫で腰の反りを防ぐことが、快適に動くための秘訣です。
・前かがみの姿勢をうまく活用する
外出時は杖やシルバーカー(手押し車)を使ったり、スーパーではショッピングカートに寄りかかったりして歩くことで、痛みを予防しながら安全に移動できます。
・腰を強く反らす動作を避ける
高いところの物を取る、うつ伏せで本を読むといった腰を反る(後屈)姿勢は神経の圧迫を強めるため避けてください。
・下半身を温める
血流が悪くなると症状が強くなるため、冬場や冷房の効いた部屋では、足腰を冷やさないようにひざ掛けや入浴などでしっかり温めることが効果的です。
腰部脊柱管狭窄症は、適切な治療とお薬の内服によって歩ける距離を延ばし、生活の質(QOL)を保つことが十分に可能な疾患です。
「少し歩くと足がしびれる」「休み休みでないと買い物に行けない」といった症状がある場合は、我慢せず名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。





