整形外科・リハビリテーション │ 北千住
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千住ミルディスニ番館3F メディカルフロアー

診療内容

MEDICAL

肘部管症候群

肘部管症候群の図

近年、パソコンやスマートフォンの使用時間が増加する中で、手や指のしびれに悩む方が増えています。特に、薬指や小指に違和感を覚える場合、「肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)」の可能性があります。
肘部管症候群は、肘の内側を通る「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」が圧迫・牽引・摩擦などによって障害を受けることで発症する末梢神経障害のひとつです。尺骨神経は、首から腕を通り、手の薬指の一部と小指の感覚、および細かな手指の動きを司っています。この神経が肘の内側で障害されると、しびれや筋力低下といった症状が現れます。

    症状

    肘部管症候群では以下のような感覚障害や運動障害がみられます。

    感覚症状

    ・薬指と小指のしびれ、痛み
    ・手のひらの小指側の感覚鈍麻
    ・冷感・灼熱感・触覚異常

    運動症状

    ・指先の動きにぎこちなさを感じる
    ・握力低下、特に小指側での把持力の減少
    ・ボタンかけや箸など細かい作業が困難
    ・進行すると手の筋肉の萎縮

    これらの症状は進行とともに悪化するため、早期の診断と適切な対処が極めて重要です。

    尺骨神経領域の痺れ

    発症メカニズム

    肘部管症候群は、以下のような複数の要因によって尺骨神経が障害されることで発症します。

    ✅ 解剖学的狭窄による圧迫
    肘の内側にある「肘部管」と呼ばれるトンネル構造の中で、尺骨神経が狭小な空間に押し込められる状態態。
    ✅ 屈曲時の牽引ストレス
    肘を曲げると肘部管は狭くなり、尺骨神経に牽引力が加わります。肘屈曲が長時間続くことで神経に慢性的な負荷がかかります。
    摩擦による微小損傷
    日常的な肘の曲げ伸ばしによって神経が骨に接触し、擦れることで微細な損傷や炎症を引き起こします。
    直接的圧迫
    肘を長時間机に押しつけるなどの外的圧迫によって、神経が局所的に障害されるケースです。

    原因とリスク要因

    日常生活での原因

    • パソコン作業やスマホ操作:肘を曲げた状態が長く続くことにより神経が圧迫されやすくなります。

    • 睡眠中の肘の屈曲:特に横向きで寝る習慣がある場合、無意識に肘を曲げていることで症状が悪化することがあります。

    • 職業的負荷:大工、配管工、コールセンター勤務など、肘を頻繁に使う方に多くみられます。

    解剖学的・体質的要因

    ・生まれつき肘部管が狭い方
    ・神経を覆う靭帯が厚い
    ・骨折・脱臼などの外傷による骨変形
    ・関節リウマチ・変形性肘関節症など

    その他のリスク

    ・中高年男性に多く発症(加齢・職業)
    ・野球・テニスなど肘に負担が多いスポーツ
    ・糖尿病や甲状腺疾患などの代謝性疾患

    診断

    問診と身体診察
    生活習慣・症状の経過・職業などを詳しく伺い、ティネル兆候(肘部を叩いたときの放散痛)や筋力・感覚検査を行います。

    神経伝導検査
    電気刺激による神経の伝導速度を測定し、圧迫部位や障害の程度を客観的に評価します。

    画像検査(超音波・MRI)
    神経の圧迫部位や構造異常を可視化し、正確な診断につなげます。特に超音波検査は動的な評価に優れており有用です。

    治療

    肘部管症候群の治療は、症状の程度や進行状況に応じて「保存的治療」と「外科的治療」に分けられます。

    保存的治療

    症状が軽度から中等度であれば、まずは手術を行わずに改善を目指す「保存的治療」を行います。日常生活の工夫や装具、薬、リハビリを組み合わせることで、多くの方が症状の軽減を実感されています。

    ● 生活指導
    神経への負担を減らすため、日常生活の中で肘を深く曲げる動作を避けるよう指導します。パソコン作業やスマートフォン使用時には、適宜休憩を取り、同じ姿勢を長時間続けないことが大切です。

    ● 夜間装具(ナイトスプリント)
    睡眠中に肘が無意識に曲がらないよう、夜間用の装具を装着します。これにより、神経への圧迫を軽減し、朝のしびれや違和感の軽減が期待できます。

    ● 薬物療法
    しびれや神経痛に対しては、神経障害性疼痛に効果のあるプレガバリンなどの薬を用いることがあります。さらに、痛みや炎症が強い場合には、消炎鎮痛薬を併用することもあります。

    ● 理学療法
    神経の滑走性を高めるストレッチや、肘周囲の筋力を強化する運動療法を、理学療法士の指導のもとで行います。無理のない範囲で継続することで、神経への負担を減らし、回復を促します。

    外科的治療

    保存的治療を一定期間行っても改善がみられない場合や、明らかな筋力低下・筋萎縮がみられる重度の症例では、手術が検討されます。手術は神経除圧術や神経前方移行術などが行われます。

    予後と注意点

    肘部管症候群は、早期に適切な治療を行うことで、良好な経過をたどることが多い疾患です。しかし、回復までには一定の時間を要するため、治療に対する正しい理解と根気強い取り組みが必要です。

    ● 早期の受診が改善の鍵
    症状が軽いうちに整形外科を受診し、的確な診断と治療を開始することで、多くの場合、しびれや痛みの軽減が期待できます。特に、日常生活に支障をきたす前に対処することが重要です。

    ● 神経の回復には時間がかかる
    一度障害を受けた神経は、ゆっくりとしか回復しません。保存的治療でも外科的治療でも、効果が現れるまでに数週間から数か月を要することがあります。焦らず、継続的に治療を受けることが回復への近道です。

    ● 再発を防ぐには生活習慣の見直しが重要
    治療により症状が改善しても、肘に負担をかける生活を続けていると再発する可能性があります。肘の屈曲を長時間避ける工夫や、作業姿勢の見直し、睡眠時の肘の角度の管理など、日常生活での予防対策が欠かせません。

    当院では、再発予防のための生活指導や環境調整についても丁寧にアドバイスしております。少しでも気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

    当院のご紹介

    症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

    およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。

    ※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。

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