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診療内容

MEDICAL

小児モンテジア(Monteggia)骨折

モンテジア骨折

お子さんが転倒して肘を痛がっているとき、「モンテジア骨折」という特殊な骨折の可能性があります。
この骨折は見た目では判断しにくく、実は整形外科医でも見逃してしまうことがある難しいタイプの骨折です。

モンテジア骨折とは、前腕(肘から手首まで)にある尺骨(しゃっこつ)が骨折し、同時に肘関節部で橈骨頭(とうこっとう)が脱臼する複合的な外傷です。
つまり、「骨折」と「脱臼」が同時に起こる複雑な骨折といえます。

小児の前腕骨折の中でモンテジア骨折が占める割合は比較的まれです。まれであるがゆえに、診断時に見落とされるリスクがあり注意が必要です。

骨折のメカニズムと分類

メカニズム
子どもは活発に動くため、転倒することが多くあります。モンテジア骨折は、主に転倒して手をついたときに発生します。

・手のひらを下に向けた回内位でつく。
・体重と衝撃が前腕を通じて肘に伝わる。
・肘が無理に伸ばされる方に力が加わる。
・上腕二頭筋が収縮し、橈骨が前方へ。
・その結果尺骨が折れ橈骨頭が脱臼する。

特に小児では骨が柔らかいため、完全に折れずにしなる「若木骨折(わかぎこっせつ)」の形になることが多く、これが診断を難しくする要因の一つです。

分類
モンテジア骨折は、橈骨頭がどの方向に脱臼するかで分類されます。これを「Bado分類(バド分類)」といいます。

・I型(最多)
橈骨頭が前方へ外れる。
転倒して手をついた際に起こりやすく大半を占めます。
・II型
橈骨頭が後方へ外れる。
肘を直接打撲したり、前腕を無理にひねられた場合に発生。
成人に多く小児ではまれ。
・III型
橈骨頭が外側に外れる。
肘を曲げた状態で横方向から強い力が加わったときに発生。
尺骨は軽い若木骨折のことが多い。

見逃しの原因と診断のポイント

モンテジア骨折は、レントゲン上で尺骨の骨折が明瞭でも、橈骨頭の脱臼が分かりにくいことが見逃しの大きな原因です。
痛みが強くて肘を動かせず、十分な撮影ができないこともあります。

さらに小児では、骨の一部がまだ軟骨でできており、レントゲンに写りにくい部分があります。
そのため、正常な位置関係の判断が難しく、専門医でなければ脱臼を見落とすこともあります。

診断のポイント:
尺骨に骨折を認めた場合は、必ず橈骨頭の位置を確認することが重要です。
肘関節を含めた広い範囲を撮影し、橈骨頭が上腕骨の中心に正しく位置しているかを確認します。

もし脱臼を見逃して骨折だけを治療すると、後に肘の動きが制限されたり、痛みが残る可能性があります。そのため、早期診断と適切な治療が極めて大切です。

治療

モンテジア骨折の治療の目的は、折れた尺骨を正しい位置に戻し、脱臼した橈骨頭を元の位置に整復することです。
小児の場合、骨の修復力が高く、正しく整復すれば良好な回復が期待できます。
ただし、整復が不十分なまま治癒してしまうと、肘関節の動きが制限されたり、将来に痛みや変形が残るおそれがあります。

① 保存療法(手術を行わない治療)
多くの小児モンテジア骨折では、徒手整復と呼ばれる手技で骨を正しい位置に戻し、ギプス固定によって治療します。
この方法は特にI型(橈骨頭が前方に外れるタイプ)で骨の転位が軽度な場合に選択されます。

整復後は、肘を90度程度に曲げた状態で前腕を回外位にしてギプス固定を行うのが一般的です。
固定期間は通常4〜6週間程度で、その後リハビリを行い、肘と前腕の可動域を徐々に回復させていきます。

整復後はレントゲンで橈骨頭の位置と尺骨の整復状態を確認し、経過観察を続けることが大切です。
特に橈骨頭の再脱臼がないか、骨癒合が順調かどうかを定期的にチェックします。

② 手術療法(観血的整復固定術)
徒手整復で骨や関節の位置が戻らない場合、または整復後に安定しない場合には、観血的整復固定術が行われます。
これは皮膚を小切開して直接骨折部や脱臼部を整復し、金属ピン(鋼線)やプレートで固定する方法です。
手術後もギプスによる固定を行い、一定期間安静を保ちます。
成長期の骨は再生力が高いため、適切に整復・固定ができれば良好な関節機能の回復が期待できます。

③ リハビリテーション
ギプス除去後は、肘の曲げ伸ばしや前腕の回旋運動(手のひらを上下に返す動き)を中心とした可動域訓練を行います。
小児の場合、リハビリは過度な負担を避けながら、日常生活動作の中で自然に動かすことを重視します。
通常、数ヶ月以内に日常生活に支障のない程度まで回復するケースがほとんどです。

治療後の注意点と再発予防

・ギプス固定中は、腕を心臓より高く上げて腫れを防ぐことが大切です。
・固定部を濡らさないように注意し、痛みやしびれが強い場合はすぐに医師に相談してください。
・骨癒合後も肘や前腕の可動域が完全に戻るまで焦らずリハビリを続けましょう。
・再発を防ぐためには、転倒しにくい環境づくりや、筋力・バランス感覚を養う遊び(ボール遊び・軽い体操など)も有効です。

保護者の方へ:こんな症状は要注意

お子さんが転倒した後、次のような症状がある場合はモンテジア骨折の可能性があります。早めの整形外科受診をおすすめします。

✅ 肘や前腕を痛がって動かさない
✅ 腕の変形や腫れがある
✅ 前腕を回す動作ができない
✅ 肘を曲げ伸ばしできない

特に「転倒して手をついた」という受傷状況を、医師に正確に伝えることが診断のカギになります。
また、治療後も痛みが続いたり肘の動きが悪い場合は、再受診やセカンドオピニオンを検討してください。

まとめ

モンテジア骨折は、早期発見・早期治療で良好な回復が期待できる骨折です。
適切に治療すれば、ほとんどの場合、正常な肘の機能を取り戻すことができます。
お子さんが肘を痛がるときは、単なる打撲と思わず、骨折や脱臼の可能性を考えて整形外科専門医の診察を受けることが大切です。

当院のご紹介

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およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。

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