変形性股関節症

「椅子から立ち上がろうとしたとき、足の付け根(鼠径部)がズキッと痛む」
「歩き始めに痛みがあり、長く歩くと足を引きずってしまう」
「あぐらをかくことや、足の爪を切る動作、靴下を履く動作が辛くなった」
このような症状でお困りではありませんか?
変形性股関節症は、骨盤と太ももの骨をつなぐ股関節の軟骨がすり減り、骨が変形して強い痛みや関節の動きの制限を引き起こす疾患です。
中高年の女性に非常に多く見られ、生まれつきの骨盤の形(寛骨臼形成不全)が原因となって徐々に進行するケースが日本の患者様の大半を占めます。
股関節の痛みは放置され受診が遅れることが少なくありません。
症状が出たら早めに医療機関へご相談して下さい。
疾患について
股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼)に、太ももの骨の丸い頭(大腿骨頭)がボールとソケットのようにスッポリとはまり込んで構成されています。
この関節の表面は、なめらかで弾力のある関節軟骨で覆われており、体重を支えながらスムーズに動く役割を果たしています。
日本の変形性股関節症の多くは、この骨盤のくぼみの被りが生まれつき浅い寛骨臼形成不全という状態が原因で起こります。
被りが浅いと、長年の体重負荷が軟骨の狭い範囲に集中するため、加齢とともに軟骨がすり減りやすくなります。
軟骨がなくなると骨同士が直接ぶつかり合い、炎症や骨の変形(骨棘の形成)が生じ、強い痛みが引き起こされます。
症状の特徴と経過
症状はゆっくりと、何年もかけて進行していくのが特徴です。
▪️ 初期(立ち上がり・歩き始めの痛み)
関節の軟骨が少しすり減り始めた状態です。
椅子から立ち上がる時や歩き始めなど、動作の開始時に足の付け根(鼠径部)やお尻、太ももの側面に鈍い痛みを感じます。
少し歩くと痛みが和らぐことが多いです。
▪️ 進行期(持続する痛み・可動域の制限)
軟骨のすり減りが進み、関節のすき間が狭くなってきます。
歩いている間中ずっと痛みが続き、長距離を歩くことが辛くなります。
また関節の動きが少しずつ悪くなり、あぐらをかく、靴下を履く、足の爪を切るなどの動作が困難になってきます。
▪️ 末期(安静時の痛み・脚長差の自覚)
軟骨が完全に消失し、骨同士が直接こすれ合う状態です。
安静にしていても常に痛みが続き、夜も眠れなくなることがあります。
関節の変形により足の長さが左右で変わり(痛い方の足が短くなる)、大きく足を引きずるような歩き方(跛行)になります。
なりやすい方の特徴
先天的な骨格の要因と、長年の負担の蓄積が関係します。
🔴 中高年の女性(40代〜60代)
日本の患者様の約9割が女性です。更年期以降の筋力低下やホルモンバランスの変化とともに症状が顕在化しやすくなります。
🔴 生まれつき股関節の被りが浅い
乳児期に発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の指摘や治療を受けた経験がある方は、将来的に発症するリスクが高くなります。
🔴 体重の増加(肥満)
股関節には、歩行時に体重の約3〜4倍の負荷がかかるため、体重の増加は軟骨の摩耗を直接的に早めます。
🔴 重労働や立ち仕事に従事
股関節への物理的な負担の蓄積が変形を進行させます。
診断のポイント
足の付け根の痛みは、腰椎椎間板ヘルニアなどの腰からの関連痛や、太ももの側面の腱の炎症大転子滑液包炎との鑑別が重要です。
主な診断アプローチ
⭐︎ 問診と可動域検査
股関節の動き(あぐらがかけるか、内側にひねることができるか)を確認し、痛みの出る部位(鼠径部や大転子部)の圧痛を丁寧に調べます。
⭐︎ レントゲン検査
股関節の隙間(軟骨の厚み)がどの程度残っているか、骨盤の被りの浅さ(寛骨臼形成不全)、骨のトゲ(骨棘)や空洞(骨嚢胞)ができていないかを正確に評価します。
⭐︎ MRI画像検査
軟骨の状態や股関節唇というレントゲンでは写らない組織が損傷されていないか、腫瘍性疾患がないかなど必要に応じて行います。検査は提携している画像検査センター(メディカルスキャニングなど)にて行って頂きます。
治療法
股関節の軟骨は一度すり減ると元には戻らないため、初期〜進行期は痛みをコントロールして進行を遅らせる「保存的治療」を行います。
✅ 生活指導と体重コントロール
股関節への負担を減らすため、洋式生活(ベッドや椅子の使用)への切り替えや、適切な体重管理を指導します。外出時は杖を使用することで負荷を大幅に減らせます。
✅ 薬物療法
痛みが強い時期は消炎鎮痛薬(内服薬や外用薬)を用いて炎症を抑えます。
✅ 運動療法
痛みのない範囲で、股関節を支えるお尻や太ももの筋肉(中殿筋など)を鍛える運動や、プール内での水中歩行など、関節に体重をかけずに筋肉を強化する方法があります。
*当院では理学療法は行っていないため必要がある方は理学療法を行っている医療機関へご紹介いたします。
✅ 手術療法の判断
保存的治療を続けても痛みが強く、歩行が困難で日常生活に大きな支障をきたす場合や、末期まで進行している場合は、傷んだ関節を人工の関節に置き換える人工股関節全置換術(THA)などの手術が検討されます。
適切なタイミングで、手術実績が豊富な提携総合病院へ責任を持ってご紹介いたします。
日常生活の注意点
股関節を守るためには、日常生活での負担をかけない工夫が大切です。
・床での生活(和式)から椅子での生活(洋式)へ
正座、あぐら、和式トイレ、布団からの立ち上がりなど、股関節を深く曲げる動作は負担が大きいため、ベッドや椅子、洋式トイレを中心とした生活に切り替えてください。
・痛みが強いときは杖をうまく活用する
痛くない方の手(健側)で杖を持つことで、痛む股関節にかかる体重の負担を大きく減らすことができます。
・適正体重を維持する
体重が1kg増えると、歩行時に股関節には3〜4kgの負担が余分にかかります。食事のコントロールなどで適正体重を保つことが最大の予防につながります。
変形性股関節症は、初期段階で状態を正しく把握し、生活の工夫を行うことで、痛みを和らげながら長く自分の足で歩くことが可能な疾患です。
「立ち上がるときに足の付け根が痛い」「靴下が履きにくくなった」といった症状がある場合は、我慢せず名倉医院駅前クリニックへご相談ください。
当院のご紹介
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およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。









