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MEDICAL

リウマチ性多発筋痛症(PMR)

リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、50歳以上の方に多くみられる自己免疫性の炎症疾患です。名称に「筋痛症」とありますが、実際には筋肉そのものではなく、関節の周囲構造に炎症が起きることで、筋肉痛のような症状が現れます。
特に、肩甲骨まわりや腰、太ももなどに痛みとこわばりが出やすいのが特徴です。発症率は高齢者層で上昇し、特に女性に多く、男女比は約2:1と報告されています。珍しい疾患ではなく、近年では高齢化の進展により患者数が増加傾向にあります。

    原因

    PMRは、体の免疫システムが誤って自分自身の正常な組織を攻撃することで、関節周囲に炎症が起こる病気です。通常、免疫は病原体から身を守る役割を果たしますが、PMRではその仕組みが乱れ、炎症反応が暴走します。

    ・樹状細胞やマクロファージなどの免疫細胞が過剰に活性化し、関節の滑膜(関節を包む膜)や滑液包(関節の動きを滑らかにする袋状構造)で炎症を引き起こします。

    ・炎症によって放出される「サイトカイン(炎症性物質)」には、インターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子α(TNF-α)などがあり、全身の不調や発熱にも関係します。

    ・血液検査では、炎症マーカーであるCRP(C反応性蛋白)やESR(赤血球沈降速度)の著しい上昇が認められることが一般的です。

    また、特定のHLA(ヒト白血球抗原)遺伝子型を持つ方で発症しやすい傾向があるなど、遺伝的要因も一因とされています。インフルエンザなどのウイルス感染やワクチン接種後をきっかけに発症するケースもありますが、特定の原因は明らかになっていません。

    主な症状

    PMRの主な症状は、「朝のこわばり」と「筋肉痛のような痛み」です。特に、起床時に肩、首、背中、腰、太ももなどに強いこわばりを感じます。このこわばりは1時間以上続くことが多く、身体を動かすうちに次第に和らいでいきます。「筋肉痛」と表現されることが多いですが、実際には関節周囲の炎症が原因です。

    【全身症状にも注意】
    PMRは全身性の疾患であるため、以下のような全身症状を伴うことがあります。

    ・微熱や原因不明の発熱
    ・強い倦怠感
    ・体重減少
    ・食欲不振
    ・夜間の痛みや不眠

    【診断方法】
    PMRの診断は、症状、血液検査、画像検査の総合的な評価によって行います。 血液検査では、CRPやESRの著しい上昇が特徴的です。CRPは10倍以上に上昇することもあります。
    MRIや超音波検査により、肩や股関節周囲の滑液包炎などの炎症所見を確認できます。
    関節リウマチや線維筋痛症、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍などとの鑑別も重要です。関節リウマチは小関節(手指・足指)に症状が現れやすく、線維筋痛症では炎症マーカーが上昇しない点でPMRと区別されます。

    発症のメカニズム

    PMRは筋肉の病気ではなく、関節周囲の組織に炎症が生じていることが主な原因です。肩関節や股関節といった大関節周辺の関節包、滑液包、腱鞘(腱を包む膜)などに炎症が集中します。筋肉そのものを調べる生検や筋電図検査では、通常は異常所見がみられません。つまり、痛みの正体は「筋肉そのもの」ではなく、その周囲の炎症なのです。
    また、免疫細胞であるT細胞のバランス異常も関連しています。炎症を促すTh17細胞が増える一方で、炎症を抑える制御性T細胞が減少し、炎症が長引く原因となります。過去の免疫記憶を担う「メモリーT細胞」も過剰に反応し、さらに炎症が持続する傾向にあります。

    治療

    PMRの治療には、副腎皮質ステロイド薬(主にプレドニゾロン)が用いられます。
    初期治療では、1日10〜20mgの少量から開始し、多くの患者さんで数日以内に劇的な症状改善が見られます。この反応性の良さは、PMRの診断上の特徴でもあります。

    【治療期間と減量】
    PMRの治療は長期にわたることが一般的で、1〜2年を目安に行います。症状が安定した後は、再燃を避けながら少しずつステロイドの量を減らしていきます。
    月に1〜2.5mgずつ減量することが多く、定期的な血液検査で炎症マーカーをチェックしながら慎重に進めます。

    【副作用への対策】
    ステロイド治療には副作用のリスクが伴うため、以下の点に注意が必要です。

    ・骨粗鬆症対策
    ・血糖値の管理(糖尿病の予防)
    ・感染症予防(うがい・手洗い)

    適度な運動、バランスの取れた食事も治療を支える大切な要素です。

    合併症

    PMR患者の約10〜20%では、「巨細胞性動脈炎(Giant Cell Arteritis:GCA)」という別の疾患が併発することがあります。GCAは、頭部の動脈や眼に栄養を送る血管に炎症が起きる病気で、失明のリスクもあるため注意が必要です。頭痛や視覚障害、こめかみの痛みなどの症状があれば、早急に医療機関を受診してください。PMRとGCAは共通する免疫のメカニズムを持ち、両者を併発することも少なくありません。

    まとめ

    リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、50歳以上の方に起こる炎症性疾患で、肩や腰のこわばりや痛み、全身の不調を引き起こします。免疫システムの異常により、関節周囲に炎症が生じることで症状が現れます。血液検査や画像検査により診断され、ステロイド治療に良好に反応するのが特徴です。

    治療期間は長期にわたることが多いため、医師の指示を守りながら根気よく治療を継続することが大切です。朝のこわばりや肩・腰の痛みが続く場合は、早めに整形外科やリウマチ科を受診し、早期の診断と治療を受けましょう。

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