上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折は、肩に近い部分にある上腕骨(二の腕の骨)の骨折でご高齢の方に多く発生します。大腿骨頚部骨折や橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折と並び骨粗鬆症に関連する骨折の1つです。骨粗鬆症があると、軽い転倒でも骨折が起こることがあります。若年者や小児においては、スポーツや交通事故による強い衝撃で発生します。肩は可動範囲が広いため、筋肉や腱の影響で転位(骨折のずれ)が生じ易く、治療に難渋することがあります。治療法は、骨折の状態に応じて保存療法や手術が選択されます。
上腕骨近位部骨折のレントゲン写真
どのような人に多いか
骨粗鬆症のある高齢者に多く発生します。軽い転倒でも骨折するリスクが高いため、注意が必要です。またスポーツ活動が盛んな若年者や交通事故などで強い外力を受けた場合にも発生することがあります。小児にこの骨折が見られた場合は、虐待の可能性を考慮する必要があります。
主な症状
骨折直後から、肩に強い痛みと腫れが生じ、腕を上げることが難しくなります。また、数日経過すると肩周囲に皮下出血が現れることがあります。骨折時に腋窩神経が損傷されると、腕や手のしびれや筋力低下が生じることもあります。また骨折に伴う血管損傷によって一定期間後に上腕骨頭壊死という状態に陥ることもあります。
診断
まず受傷時の状況を確認した上で、レントゲン画像を撮影し、骨折の有無と程度を確認します。さらに骨折の詳細な評価のためにCTやMRI検査が行われることがあります。MRIは、レントゲンでは確認できない微細な骨折や、腱板断裂などの付随する損傷を評価するのに有用です。
治療
骨折の転位(ずれ)がない場合は、三角布やバストバンドで肩を固定しながら、手指。肘の運動を行い骨癒合を待ちます。転位が大きかったり骨折が粉砕していたりする場合は手術が検討されます。手術方法には、金属のプレートやスクリューを使用して骨を固定する骨接合術や、骨頭壊死のリスクが高い場合に行われる人工骨頭置換術があります。手術の有無にかかわらず、早期のリハビリテーションが重要であり、肩の可動域を回復させることが治療の一環として行われます。
予防のために
日常的な筋力トレーニングやバランス訓練により転倒リスクを減らすことができます。また骨粗鬆症の予防として、カルシウムやビタミンD、ミネラルを豊富に含む食事を摂取するようにして下さい。骨折後は適切なリハビリテーションを行い、関節の可動域や筋力の回復に努めることが大切です。
当院のご紹介
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およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
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