大腿骨頭すべり症
大腿骨頭すべり症は、大腿骨頭の成長軟骨板において骨頭が後方へ“滑る”ことで生じる、成長期の小児に特有の疾患です。症状は大腿部や膝に痛みを訴えることもあり、診断が遅れてしまうこともあります。過度な運動や肥満、内分泌障害などが原因として考えられ、近年では発症数が増加傾向にあります。
どのような人に多いか
11歳~14歳の男児に多く発症します。過度なスポーツ活動や肥満、内分泌障害(成長ホルモンの分泌亢進・性ホルモン分泌低下・くる病など)、また過去に放射線・化学療法治療を受けたことがあると発症のリスクが高まります。
主な症状
急性期では股関節に激痛が生じ、歩行障害が認められます。歩容は外旋位歩行と呼ばれ、慢性期では徐々にすべりが進行し、痛みは膝や大腿部に広がります。これにより診断が遅れることもあります。
診断
痛みの部位や歩行様式、股関節の可動範囲を確認します。また仰向けになり股関節を曲げていくと外に開いていく「Drehmann(ドレーマン)徴候」を観察します。画像検査ではレントゲン写真で骨頭の滑りや、滑り部におけるリモデリングと呼ばれる仮骨形成の有無を確認し、必要に応じてCTやMRI画像も撮影します。
治療
大腿骨頭すべり症の診断がついた場合、手術が基本となります。発症直後の急性期は早急な手術が必要であり、発症から手術までの待機時間が長いと大腿骨頭壊死症の発生率が高くなるといわれています。手術までの待機期間は松葉杖を使用してなるべく体重をかけないようにします。
予防のために
過度なスポーツを避け、ウェイトコントロールによる肥満の是正が重要です。正確な診断と早期の適切な治療が予後を左右するため、症状が疑われたら迅速に医療機関を受診してください。
当院のご紹介
症状やご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
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