骨粗鬆症性椎体骨折
骨粗鬆症性椎体骨折は、骨粗鬆症という骨折のリスクが高い状態で生じる代表的な骨折の1つです。骨粗鬆症の方は日本に約1280万人いますが、高齢者が増加する中で今後当該骨折の増加が予想されます。骨折が進行したり多発的に生じると要介護状態に至るリスクが高まります。骨折が神経を圧迫すると遅発性神経麻痺という下肢麻痺により歩行障害を生じる可能性もあるため手術が必要になってきます。
椎体骨折の解剖図例
どのような人に多いか
骨粗鬆症は女性ホルモンの影響を受けるため、閉経後の女性に多く見られます。また糖尿病、関節リウマチ、透析導入中、甲状腺疾患などは発生リスクを高めます。
主な症状
背中や腰の強い痛みのため動作が困難になることもありますが、「いつのまにか骨折」という言葉があるように痛みをほとんど感じないこともあります。複数の椎体の圧潰により脊椎が変形し、「後湾」と呼ばれる状態が生じて身長が低くなることもあります。
診断
骨粗鬆症自体の診断には骨密度測定(DXA法)が行われますが、椎体骨折の診断には基本的にレントゲン写真が行われます。しかし確認が難しい不顕性骨折も存在し、MRI画像検査が追加されることもあります。MRI画像では骨折の新旧や、神経の圧迫状態も評価できます。
治療
保存療法と手術があります。初期にはコルセットや鎮痛薬を使用し安静を保ちます。症状が落ち着いたら運動療法も行われます。もし骨粗鬆症が未治療であれば同時に骨粗鬆症治療も開始します。保存療法が不十分である場合や、下肢の麻痺・膀胱直腸障害(排尿排便のコントロールが困難な状態)が発生した場合は手術が必要となります。手術は固定術や椎体形成術、骨切り術など様々な術式が選択されますが、近年では経皮的椎体形成術としてバルーンを用いたBKP(Balloon Kyphoplasty)も多く行われています。
予防のために
第一に骨折の原因となる骨粗鬆症の予防が重要です。特に閉経後の女性はエストロゲンホルモンの低下により骨粗鬆症になりやすいため、医療機関での定期的な骨粗鬆症検査が勧められます。重量物の持ち上げや過度な運動、急激な動作は避けましょう。喫煙や飲酒も骨粗鬆症のリスクにつながります。
当院のご紹介
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およそ250年前から千住の地で親しまれてきた名倉医院の分院として、その歴史の中で培われた知識や技術を土台として最新の医療を提供しております。
※手術やより高度な治療が必要と判断された場合は、適切な医療機関へご紹介させていただいております。